高温気流中の微粉炭粒子の燃焼特性に関する研究

1. 背景&目的

現在,鉄は建造物や自動車,家電製品など幅広い範囲で使用され人間の生活に欠かせないものとなっている.加工される前の銑鉄は原材料である鉄鉱石を還元して作られるが,この過程の95%以上が高炉で行われている[1].高炉には熱風とともに補助還元剤として微粉炭が高炉下部の羽口から吹き込まれる.鉄鉱石を効率よく還元するためには,吹き込まれる微粉炭の燃焼を速やかに完結させて還元雰囲気を形成することが重要である.従って炉内の温度分布や化学種濃度分布を正確に把握する必要があるが,炉内は非常に高温で直接観測することが困難であるため,数値シミュレーションが用いられる.このシミュレーションの精度向上のためには羽口から吹き込まれる微粉炭と高温空気の正確な境界条件設定が必要となる.そのため本研究では高炉の羽口内部を対象とした数値シミュレーションの構築を行う.

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Fig.1 : Tuyere in blast furnace

2. 解析方法

先行研究として羽口内部を模擬した実験装置を作成し,微粉炭供給量と微粉炭搬送空気流量を変更パラメータとして微粉炭粒子の着火特性を調べる実験を行った.OHラジカルは燃焼反応初期に生成されるラジカルであり,その自発光を観測することで着火位置を測定した.得られた実験結果を用いて数値シミュレーションの精度検証を行う.  数値シミュレーションではLESを用いた非定常乱流場での解析を行う.計算内で反応初期に生じるCOやTarなど各化学種の濃度分布や反応速度分布を用いて実験結果との比較を行う.

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Fig.2 : Schematic diagram of experimental apparatus

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